
剣の矛先でもすれ違っている二人。アテネはハヤテに対して剣を振るっているが、ハヤテは、彼女の背後で自分をあざ笑う髑髏の影に対して剣を振る。だが、アテネには自分に取り付いている影が見えない。当然、ハヤテは自分に対して剣を向けられたと思っている。
今までアテネの剣を受け止めるor受け流すだけだったハヤテが、髑髏の影を振り払ったときに結果としてアテネに剣を向けた形となったわけだが、これが彼女の神経をさらに逆なですることになる。
だが、この時までのアテネには、ハヤテに対して思い込みがあったのではないだろうか。
それは、
「ハヤテは自分に逆らうことはない」という優越感というか支配感ともいえるものだ。
今思えば、ハヤテはアテネと会ってから彼女に対してどちらかというと従順だったように思える(たまにヒエラルキーが逆転しているときがあるが…)。感情赴くままに剣を振るっていても、心の何処かで「ハヤテは自分に剣を向けることはない」という思いがあったからこそ、彼女が再び剣を向けるまでに間があったり、そこでハヤテに「私と戦ってでも…」といったセリフがでてきたのではないだろうか。
もちろん、その後に続く「私より…あんな奴ら(両親)を!!」というセリフから解るように、自分よりも両親を選択したと思った事のほうが大きいだろうが、それでも彼女の心境も一枚岩ではないような気がした。
互いが全力でぶつかり合い、互いの剣が砕けたのは象徴でしかない。真に砕け散ったのは二人の関係なのだ。 髑髏の影が取り付いてトランス状態であったアテネ。その影が消えた後の興奮冷めぬうちに出た言葉だが、これはこのときの彼女の本心には違いない。彼女が自分に対して向けた表情。言葉、態度、全てがハヤテの心に深く刻み込まれた。
よく「罪」と「罰」が一緒くたに語られるが、私はこれは正しい形だとは思わない。
私は「罪」と「罰」の間に「呪」が存在していると考える。「呪」は、「罪」を忘れない(忘れさせない)ためのものであり、きたるべき「罰」への備えなのだ。ハヤテが指輪を手放した後のアテネとのやり取りを「罪」と仮定するならば、「呪」はまさにこの瞬間であるといえるだろう。

ハヤテが部屋を出て行った後に、うわ言のように心の内を述べるアテネ。聞こえるはずはないとわかっていても言わずにはいられなかった。本当はわかっていた。腹がたっていたけど、全てわかっていた。
だが…
伸ばした手の先にはもうハヤテはいない…。 そして…
アテネが自分に向けられた言葉をハヤテは知らない…。 「ずっと一緒に…!」という言葉と共に顔を上げたときのアテネの表情には、もしかしたら、‘ハヤテがまだいるかもしれない’or‘いつものようにハヤテがいるかもしれない’という期待感があったのではないだろうか。

結局、アテネが欲しかったのは‘自分の名前を呼んでくれる人’だったのだろう。名前を呼ばれるというのは、「自分が確かにここにいる」という証明になるし、また、「自分は一人ではない」という証明になる。
どれほどの時をロイヤル・ガーデンで過ごしたかはわからないが、アテネはずっと一人で過ごしていくうちに、自分という存在がかなりあやふやになってきてしまっていたのではないだろうか。
だが、動機がどうであっても、あの時二人が誓いあった愛は本物だったし、ハヤテが去った後でもアテネにそれは残り続けていくことだろう。
それはアテネに架せられた「呪」といえるのかもしれない…。
ハヤテだけでなく、アテネもまた彼との別れに「罪」と「呪」を背負ってしまったのだから…!! もう、ここまできたら来週までこの手法でいってやる…!
それにしても「ダイアモンド・クレバス」の歌詞が似合いそうな雰囲気だな~。
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だけどハヤテはあの言葉を真に受けて城を出て行ったのですよね・・・。
今回は少し悲しい感じの話ですよね・・・。
>今回は少し悲しい感じの話ですよね
読者は、二人の結果がどうなるか知っていましたが、想像以上にそこに至るまでの過程が重かったですよね。
ここまでやると、これからのコメディが楽しめなくなる人が出てくるのではないでしょうか??