
あの時、アテネはハヤテと別れることを確かに受け入れていた。
それは彼女が言った
「せめて、あなたにだけでも誇りと自信をつけさせて、外で幸せになってもらいたかった」 というセリフから読み取ることが出来る。
しかし、今は違う。アテネは力ずくでもハヤテを自分の傍に置こうとし、彼にとっての最大の不幸を回避するためあえて刃を向ける。それは、ハヤテが自分の両親にたやすく騙されて大切な指輪を手放してしまったこともさることながらだが、そんなことよりも、もし、このままハヤテを外の世界に帰してしまえば、確実に彼は両親のエゴと欲望に食い尽くされ不幸になってしまうという未来を知ったからだ。
「大事な人だからこそ幸せになって欲しい。」 「愛しているからこそ不幸になって欲しくない。」 アテネが、ハヤテに対して厳しく投げかける言葉の中には、こんな本音が見え隠れしています。

彼女の怒りは、ハヤテに向けられたものではない。彼女の怒りの矛先は、彼の両親に向けられている。だからこそこんなことが言えた。
アテネが紡ぎたかった言葉はなんだったのだろうか。彼女の‘ハヤテと一緒にいたい’という気持ちは疑う余地がない。そのことを踏まえると好意的な内容であることが推測できるが、その言葉を一字一句まで再現することは難しい。だが、私ならば、「ここを好きになれる」という言葉を紡いでいたと思います。理由としては、以前にハヤテが「このお城がすき?」とアテネに問うたことがあるからです。
アテネから再び手が差し伸べられるハヤテ。一度目はロイヤル・ガーデンに立ち入ったとき、二度目は初めて執事になった夜に、三度目は夕日の見える城壁の上で、四度目は剣の稽古の後で…、その後も語られなかっただけで何度もあっただろうし、アテネが手を差し伸べ、ハヤテがそれを取るというのは、二人の‘絆’を確認するためのある種の儀式だったのだろう。
だが、ハヤテは初めてこれを拒否した…。
そして…これがハヤテに向けられたアテネの最後の愛情だった…。 
アテネに一方的にまくし立てられ、言いたい事が言えなかったハヤテはついに禁断の言葉を口に出してしまう。
だが、ここでハヤテを責めることは出来ない。それはそうだろう。人は信じているものを否定されたら当然反発するし、ましてや、信じている人たち(両親)が否定され、またそれが信じている人(アテネ)に否定されたのだから。これは年齢とか世代とか性別とか関係なく、誰しもが行ってしまうことなのだから…。
当然、ハヤテが自分が言ってしまったことの重要性にすぐ気がつき後悔するがそれはもはや遅かった…。
アテネにこの言葉が届いたときは、既に彼女の感情の矛先がハヤテに向けられ、愛情が憎悪に反転してしまったのだから…!!
「お前に何がわかる」 「何も知らないくせに」 今までの彼女からは想像も出来ない言葉から初めて人としてのエゴが垣間見えた。
アテネはハヤテに何故自分がここにいるのか、自分は何者なのかを語ったことはない。
アテネはハヤテの身の上のことを知っているが、ハヤテはアテネの身の上についてのことは何一つ知らない。
言葉に出さず、自分のことを話したことがないのに、「お前に何がわかる」、「何も知らないのに」とまくし立てるその様をエゴと呼ばずになんと言うのか。
結局のところ、彼女も人に理解される努力を怠ったのだ。例えそれがどんな理由があったにせよ、少しでも理解されようとする努力を怠った。
もう少しハヤテがアテネの傍に居続けていれば、もしかしたら、徐々に自分の秘密を明らかにしていったのかもしれないし、ハヤテも彼女が両親に対していったことが自分のためであったと理解していったのかもしれない…。だが、刻の針は待ってくれなかった…。

アテネの憎悪に呼応するように‘何か’が現れはじめた。
それは彼女の今の心の内を具現化するように形作られていく。
それがとある部屋にあった棺から出てきたものなのか。
それともアテナの感情と呼応するように棺が呼び寄せたものなのかはわからない。
もう、二人で過ごした刻は戻ってきてはくれないし、もう、後戻りは出来ないところまできてしまったのだ…。 あ~なんか久々に大真面目に感想書いちまった…。このモードで感想書くと疲れるのですorz
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ゴゴゴゴゴゴゴゴ
フルメタルハガー出現
を思い出してしまってしょうがないです。
あそこで否定しなければよかったのに・・・だけどハヤテはあの親を信じてたのですよね・・・だから否定した・・・。
もはやアテネ・・・言葉が凄い暴言になってますよ・・・。
しかし最後のあの棺は中には何が入ってるのでしょうか?なにか凄く強大な悪の力を感じるのですが・・・。
後は進むのみです。
>雑兵さん
聖剣伝説ですか!?聖剣伝説なんですね!!??
>wentさん
人は一度信じ込まされると後はそのままずるずると引きこまれるものです。新興宗教なんかがいい例なのではないでしょうか。
あの棺に関しては、考察しようにもなんら手がかりがありませんからね…。大人しくこの後の展開を待つしかないと私は考えております。
奴等は無条件で両親を絶対に正しいと信じてしまうという悲しい習性を持っています。
知ってますか?
非情に理不尽な理由で死ぬほど虐待された子どもですら、自分に問題があって虐待されているのであり、親は悪くないと思ってしまうそうです。
小学校上がんないと両親の否定は難しいんですよ。
小1くらいだとまだアレかな?
ちなみに、ヒナギクが自分達姉妹に借金を押し付けて蒸発した実の両親をまだ信用しているのも、捨てられた時期が小学校入学前で無条件で両親を信用してしまう時期だったので今回のハヤテのように親を信用してしまい、それを10年後の本編の頃まで引き摺ってしまっているからだ、と考える事も出来ます。
園児ハヤテやヒナギクは凄い勢いで親に裏切られても、裏切られた方の二人が園児だからと言う理由でどうしても親を信用してしまうんです。
虐待を受けている子どもを救う事はかなり難しいことだとされてますが、親が子どもを手ひどく扱う割に子どもに対する執着心が凄いという以外にも、子どもがどれほど酷い目に合わされていても盲目的に親を信用してしまうというのも、彼らを救うのが難しい一因なんです。
全てはハヤテが幼稚園児だったからこその悲劇。
せめて奴が小学校中学年程度の年齢だったなら、この別離は避けられたハズなんですが……