「有害図書:コミックなど5冊、「犯罪、自殺誘発」で初指定--県審議会」という記事を
MOON CHRONICLEさんで見かけて、
ゴルゴ31さんに飛んで元ソースを見てみました。
正直、この手の話には「またか。」と思ったのですが、前にゼミ生や先生と絡んで漫画やゲームの規制についてお話したことがあったんで、自分なりにまとめたところや、その裏側についてを少し書き記してみたいと思います。
ここでは青少年への影響についての真偽ではなく、何故このような話が出てくるのかということを少し述べてみます。
有害図書:コミックなど5冊、「犯罪、自殺誘発」で初指定--県審議会 /岩手
県青少年環境浄化審議会は12日、「犯罪や自殺を誘発、助長する」としてコミック3冊、書籍2冊を有害指定した。18歳未満への販売などが禁止される。犯罪などの助長を理由にした指定は県内で初めて。
改正県環境浄化条例が1日に施行されたのを受け、12日に審議会が行われた。
同条例はこれまで過激な性描写などが載った雑誌などを「有害」と指定。書店やインターネットカフェなどの業者に対し、18歳未満への閲覧や貸し付けなどを禁止してきた。
県によると、改正条例では新たに「犯罪や自殺を誘発、助長するもの」を指定要件に加えた。罰則も強化され、20万円の罰金から6月以下の懲役または50万円以下の罰金となった。不健全な図書類の規制は全国的な傾向で、7月6日現在、35都道府県で「犯罪・自殺」について規制をしている。ただ、有害指定にいたったのは12都道府県にとどまる。
審議にかけられた図書は東京都や茨城県など全国でも指定されているもので、コミックが「多重人格探偵 サイコ」の1~3巻。書籍は「復讐の本」「ゲキダスvol.3 激裏情報@大辞典」。出席した5委員の満場一致で決まり、県に答申した。16日から規制される。
コミックや雑誌などの規制は表現の自由を侵害する恐れがある。同審議会の佐々木章一会長(盛岡市乙部地区公民館館長)は「表現の自由も重要。ただ、犯罪の低年齢化、凶悪化する中で、これらの雑誌などが青少年に影響を与えかねない。規制は必要と判断した」と説明した。【安田光高】
毎日新聞 2007年10月13日
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20071013ddlk03100074000c.html
以上が毎日新聞からの引用。
規制の話は今に始まったことではないが、ここではなぜ漫画やゲームが規制の対象として槍玉に挙げられるかということをお話しよう。皆さんの中には、「漫画やゲームがとやかく言われるのに、何故ドラマや映画などの規制の動きが弱いのか?」と思われる方もいるのではないだろうか。もちろん、映画の中にはR-18、つまり18歳以上でないと見れない映画や、テレビ放送で残虐なシーンをカットして放送するといったことがあるが、それでも漫画やゲームとあまり大差の無い表現がそのまま放送されることのほうが多い。
ドラマなどでも、火曜サスペンスのように、平気で殺人シーンが映し出されたり、死体となった役者が地面に寝そべっているシーンはよくあることである。
青少年に悪影響うんぬんの話は、実は明治時代からある。この時代では小説、つまり今で言うところの
純文学が青少年に悪影響を与えるといった論があったし、もっと面白いものだと、
野球が青少年に悪影響を与えるといった野球害悪論なるものがあった。今の価値観で見るととんでも論が平気で展開されていた時代もあるのである。
話を戻すが、では、なぜ漫画やゲームが規制の対象として槍玉に挙げられるかというと、簡単に言ってしまえば、
後ろ盾、つまりバックボーンが弱いということが一つの理由として挙げられる。
どうゆうことかというと、例えばパチンコなどは、日本では賭博として認められていないが、商品の交換や、換金などが行われている。日本で公営ギャンブルとして認められているのは、競馬、競輪、競艇などであるが、これら「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(俗に言う風営法)にのっとり運営されている(この法律もなんだかよくわからない代物)。この法律からみれば、パチンコは明らかに賭博であり、賭博罪で規制されるべきものであるが、その動きは全く見られない。パチンコ業界が摘発されない背景としては、業界の規模もさることながらその大きさや、労働団体の存在、警察の天下り先として有力であるなど、その後ろ盾の力は絶大であり業界自体に下手に手を出せないといった事情があるからである。
では、漫画などの出版業界やゲームなどの業界でこのような確かな後ろ盾があるかと問われれば、ほとんど無いといっていい。後ろ盾が無い場合、規制について声は上げられても、それを止めるだけの力は無いのである(公権力に近かったものや政治家との繋がりが薄いためである)。また、業界の規模としても、テレビをはじめとするメディアに比べれば小さく、権力や影響力もさほど無いのである。
こうしてみると、
漫画やゲームの規制の動きは一種のパワーハラスメントとして見ることができる。青少年への影響やなんたらといっているが、
その内実は、力なき業界が不可解な理由でその責任を負わされるというシステムが社会に存在しているということなのである。
わりとこの手の話は、犯罪社会学やセクシャリティの社会学で出てくるものなんですよね~。
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せめて色変えるとかにしろよ
なんというか理不尽ですよねぇ
全てがこれというわけではないですが、こういったものも1つの理由としてあるというわけです。確かに理不尽でありますね。
>オサガメさん
マジョリティ(多数派)からマイノリティ(少数派)への働きかけという点から見れば、オサガメさんがおっしゃる見解も間違いではないかと思います。
2.規制されないのは後ろ盾があるから
3.漫画・ゲーム業界は後ろ盾がないから規制を受ける
4.漫画・ゲーム業界が負う責任は不可解だ
3と4の間に論理の飛躍がある。有害図書等の規制が「不可解」であるなら、少なくとも有害性の否定が必要だと思う。不公平、と言われるなら納得するんだけど。
どうもこんにちはです。
>3と4の間に論理の飛躍がある。有害図書等の規制が「不可解」であるなら、少なくとも有害性の否定が必要だと思う
最初に「ここでは青少年への影響についての真偽ではなく~」と有害性の否定をここではお話しないという旨を含んだことを書いておきましたが、私の言葉が足らなかったようです。申し訳ありません。
有害性の否定をガチンコで書くとえらいテキスト量になるということで、焦点を絞って書いたために多少論理の飛躍が起こっています。
「不公平」。確かに朝目から来ましたさんの言う通り、ここではそちらの言葉のほうが適切かと思われます。ご指摘有り難うございます。
>三人目の名無しさん
こんにちは。
首都大学の宮台教授は名前だけしか知らないので…。機会があるなら論文を読んでみようかと思います。情報提供有り難うございます。
ま、たしかに少女漫画で過激なものもありますからね。レディコミかと思うようなものもありますし。